WordPressをやめてAIで作る、法律事務所HPの新しい作り方
法律事務所のホームページをWordPressからAIによる制作へ切り替えた理由について、弁護士でホームページ制作も手がける新井玲央奈氏が自身のチャンネル「弁護士 新井玲央奈」で語りました。話の中心はPHPの脆弱性問題とAIのデザイン能力の向上を受けて、作り方と費用をどう変えたのかという点です。
- 攻撃側のAI活用で脆弱性の発見や攻撃が容易になったとみて、今後はPHPを使わずに作ります。
- 2026年9月のClaude Opus 5.5などでAIのデザイン能力が実用レベルに達したと判断しました。
- 公開先をCloudflareに移してサーバー契約を不要にし、手作業の工数減を受けて費用も値下げしました。
作り方を変えた二つの理由
新井弁護士はこれまでWordPressでホームページを制作してきました。ベースとなるテーマを購入すれば労力と費用と時間を抑えられたといいます。納品後に先生方が文章を手直ししたり、お知らせを投稿したりしやすい点も利点でした。世界中で使われるツールであることも安心感につながっていたと振り返ります。
転換のきっかけの一つはPHPの脆弱性です。WordPressはPHPで動いており、首相がSNSで緊急の呼びかけをするほどの問題になりました。新井弁護士が制作したサイトは定期的に保守していたため影響を受けなかったそうです。それでも攻撃側がAIを使うことで「脆弱性の発見、攻撃が飛躍的に簡単になっている」とみて、今後はPHPを使わずに作ると決めました。
もっとも、PHPを使わなければ安全で使えば常に危険という単純な話ではないとも断っています。メジャーなツールを避けて攻撃の対象を減らし、リスクを下げる考え方だと説明しています。士業事務所のサイトであればPHPがなくても問題はなく、閲覧する相談者が違いに気づくことはまずないそうです。
AIで広がった表現の幅
もう一つのきっかけはAIの性能向上です。AIでホームページを作れるという話は以前からありましたが、顧客への納品物としては厳しい水準だと感じていたといいます。状況が変わったのは2026年9月に出たClaude Opus 5.5でした。ChatGPTのモデル向上も含め「デザイン能力が飛躍的に向上して実用レベルに達した」と語ります。
顧客の案件で試す前に、まず自身のサイトを3つほどAIで作ったそうです。最初はAIらしい見た目になりましたが、磨き込むうちに顧客に出せる水準に届いたと判断しました。従来はテーマを使えば安い代わりに表現の幅が狭く、幅を広げれば費用が上がる関係にありました。AIによって両者を両立できるようになったといいます。
ただし作業が楽になったわけではないと強調します。「いい感じに」と頼むだけでは十分なものはできず、どこをどう直すかを具体的に指示し、何十回もやり取りを重ねているそうです。手作業の負担は減り、その分を文章やサイト構成を考える時間に充てられるようになったと説明しています。
Cloudflareと値下げ
公開環境も変えます。これまではXサーバーやさくらのサーバー、ロリポップなどを借りていました。今後は米国の上場企業であるCloudflareを使い、サーバーの契約は不要になるといいます。PHPを使わない作り方がしやすく、偶然先に移行していた自身のサイトは先のPHP問題でも「無風でした」と話します。
一方で、Cloudflareなら100%安全だとは言わないとも述べました。上場企業でも個人情報が漏れる時代であり、絶対に安全なサービスは世界にないという立場です。そのうえで、Cloudflareが壊滅的な被害を受けるような状況なら、世界中のサイトが同じように大きな被害を受けているはずだと説明しています。
費用は値下げしました。物価高のなかで従来の価格は厳しいと感じていたそうです。しかし手作業の工数が減り、AIを使うと伝えながら価格を据え置くことには「もやっとする」と感じたといいます。考える時間はむしろ増えたとしつつも、潔く下げる判断をしたと語っています。
外注する意味
AIで作れるなら自分で作ればよいという声も想定しています。新井弁護士はホームページらしいものは誰でも作れるとしつつ、制作経験がなければ「AIっぽくて安っぽいデザイン」になりやすいと述べます。弁護士以外がAIで作った訴状も、一見よくできていて主張の甘さや証拠の評価で弁護士には分かるとし、それと同じだという説明です。
依頼する価値として三つを挙げます。一つ目は2007年からの弁護士経験と2019年からの制作経験をもとに、相談者の不安や関心を踏まえた構成や文章を作れることです。派手なアニメーションは法律問題に悩む閲覧者が求めるものとは限らないといいます。専門分野や勝訴率を尋ねる業者と比べ、意思疎通の手間が少ない点も挙げています。
二つ目はCloudflareでアカウントを作り、セキュリティを高めたうえで公開まで行う環境構築です。三つ目はデザインのルールやページ構成、禁止事項などをまとめたルールファイルの作成です。これは納品後にAIで更新する際にAIが読み込む仕様書であり、先生方が目で読むことを想定したものではないと説明しています。
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