15分仕事こそAIに、弁護士が見積書と日程調整で示した時短
弁護士の新井玲央奈氏はYouTubeチャンネル「弁護士 新井玲央奈」で動画「【弁護士向けAI活用】15分位の仕事こそAIで効率化|法律事務所の業務効率化|Claude(クロード)」を公開しました。動画で語られたのは、日々の細かな業務にAIを使う意味です。話の中心は、数時間かかる起案より15分ほどで終わる仕事にAIを使うほうが効率化を実感しやすいという点です。
積み上がる短時間業務
新井氏はまず、事務所の忙しさの原因は数時間かかる仕事より15分ほどの仕事にあるのではないかと指摘します。例に挙げたのは、事件記録を少し確認して答える依頼者へのメールや、過去のやり取りを思い出す必要がある長文メールです。請求書や領収書、見積書、委任契約書、書類送付書の作成も含まれます。上申書の提出や訴状の補正で1ページだけ差し替える依頼も同じ部類だといいます。
こうした仕事は1件なら15分で終わる分量です。それでも起案の途中に差し込むのは難しく、多くは「後でやろう」と後回しになると新井氏は語ります。1日に4つか5つ、忙しい弁護士なら10件ほどたまり、まとめて片付けるには数時間が必要になります。その時間が取れずに翌日へ繰り越すと、すぐ返せるメールも滞り、期限間際の対応や依頼者への連絡の遅れにつながるといいます。
新井氏はこの状態をテトリスやぷよぷよにたとえています。1個ずつの大きさは同じでも、積み上がると目の前の分を消すのに精一杯になります。その結果、下にたまったものには手が届かなくなるという説明です。
見積書と日程調整の実例
新井氏が最近効果を実感したのは、弁護士業務ではないクリエイター業の見積書です。項目ごとに金額を細かく分けるよう求められ、手作業なら金額の配分や書式に迷って30分ほどかかったはずだといいます。AIアシスタントのClaudeに要件と合計額を伝え、配分はひとまず任せました。指示から完成まで3分、修正を含めても5分ほどで終わったそうです。
短縮できた時間は10分ほどですが、新井氏は精神的な負担の軽さを強調します。どう作るか考え続ける時間は「脳のリソース」を消耗させ、件数が重なると大きな負担になるといいます。出てきた案は直すのも簡単だったそうです。宛名と件名を変えたA案とB案の見積書では、音声入力で指示して1か所直すだけで済みました。送付メールまで含め、手作業なら15分から30分の作業が10分ほどで終わったそうです。
日程調整でもClaudeを使っています。平日の9時から18時、1時間単位という抽出ルールを事前に伝えてあり、Claudeがカレンダーから空き日時を出します。新井氏が前後の予定を見て候補を手で削り、返信メールを作らせる流れです。相手の返事を渡せばGoogleカレンダーへの登録やGoogle Meetのリンク発行、案内メールの作成まで進みます。15分ほどの作業が1分から3分で終わるといいます。
スキルによる仕組み化
動画では指示内容を言葉で説明していますが、実際にはClaudeの「スキル」という機能で動作をあらかじめ定めているそうです。普段は半角スラッシュで始まる短いコマンド1つで動かしていると新井氏は説明します。毎回同じ指示を書かずに済むことが仕組み化の利点だといいます。
請求書と領収書の書式はすでに用意済みです。「誰々さん、領収書、本日付け」と3つの語を伝えるだけで、PDFの領収書と送付メールができあがるそうです。新井氏に残るのは内容を確かめて送信ボタンを押す作業だけになります。見積書も書式を作っておけば、さらに手間が減ると話しています。
一方でスキルの作成には1時間から2時間かかる場合もあります。新井氏は多くの事務所の悩みを「忙しすぎて業務効率化する時間がない」状態だと捉え、魔法のような解決策はないとも認めました。それでも時間をかけるべき仕事に時間を使える状態が先にあるとして、試す価値は大きいと締めくくっています。
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