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破産の本人申立て支援、離脱の原因は法律より画面設計だった

弁護士に頼らず破産を申し立てる人を、AIはどう支えられるのか。LawDroidの年次カンファレンスで、Upsolveのクレア・ロビンソン氏が自社のAI導入事例を紹介しました。利用者が途中で離脱する原因をデータで探り、知識を答えるAIより手続を前に進めるAIを選んだ経緯を、具体的な画面とともに語っています。

LawDroid / 公開 2026/10/31 / 9分 / YouTube で見る

離脱の原因を探る

米国のUpsolveは、低所得層が連邦破産法第7章(チャプター7、清算型の破産手続)を弁護士なしで申し立てるためのソフトウェアを提供しています。ロビンソン氏は自社を「破産版のTurboTax」と例えます。これまで約2万3,000世帯を支援し、ツールを通じて免除された債務は10億ドルを超えたとのことです。

2025年初め、同社は支援の規模を広げる方法を検討し、利用者の離脱に課題を絞りました。毎年数万人がツールを使い始めますが、途中でやめて申立てを終えられない人がいます。当初は本人申立てに必要な知識の不足が原因だと考えていたと語ります。

ところがデータを見ると、離脱は法的に複雑な箇所に集中していませんでした。多かったのは、法律上は単純でも画面の設計が複雑な箇所です。ロビンソン氏は離脱の大半を「知識の伝達だけでなく設計の問題」だったと表現しています。

画面の状況を読むAI

この分析から、同社はAIの役割を二つに分けて考えました。質問に答えて情報源へ案内する知識アシスタント型と、手続を進める行動を助けるナビゲーション型です。採用したのは後者で、「前に進むこと」をすべての前提に置いたと説明しています。

具体的には、申立ての全工程で表示されるAIのサイドパネルを組み込みました。AIは利用者が手続のどのページにいるかを把握しており、そのページの質問の意図に沿って答えます。さらに入力済みの欄や画面に出ているエラーメッセージの情報も渡しています。

実演では、氏名の入力画面で「なぜ先に進めないのか」と漠然と尋ねる例が示されました。AIは姓の欄が空いていることを把握しており、具体的な解決策を返します。パネル上部には、利用者がつまずく点を調査して作った質問候補が並び、クリックだけで質問できます。

利用状況と三つの原則

取り組みはまだ初期の試験段階ですが、利用者の約40%がAIを継続的に使っているといいます。ツール導入後、月間の申立件数はおよそ4倍に増えました。それでも人員を同じ割合で増やす必要はなかったと、予算の限られた組織の立場から述べています。

最後に、開発で用いた三つの原則が示されました。理解だけでなく行動のために作ること、摩擦がある場所はどこでも減らすこと、AIを伴走者として設計することです。2点目について、問題を先入観で決めず、実際の利用者の行動から障害を特定したと語ります。

3点目では外部の知識源として置くより、アプリの中でその場で参照できる存在にすることが利用を促すと考えたそうです。質問を組み立てる負担を利用者から取り除くことで、より自然にツールを使えるようになると説明しています。

本記事は掲載時点の情報です。発言の引用は日本語に訳しています。