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AI and the Future of Law Podcast米国

導入予算はライセンスより人に、中規模法律事務所のAI定着策

米国のポッドキャスト「AI and the Future of Law Podcast」の回「AI Adoption in Law Firms: What Actually Works with Norah Olson Bluvshtein」で、米法律事務所FredriksonのAI・リーガルオペレーション責任者が中規模事務所でのAI導入を語りました。中心にあるのは、ツールに伴走役の人を組み合わせなければ利用は表面的にとどまるという指摘です。

AI and the Future of Law Podcast / 公開 2026/11/03 / 34分 / YouTube で見る

中規模事務所の条件

Fredriksonは弁護士400人余りを抱え、ミネアポリスを拠点に中西部へ事務所を広げています。Am Law 200(米国の法律事務所ランキング)では145位です。Bluvshtein氏は中規模事務所の課題としてまず費用を挙げ、「ツールは非常に高価です」と語ります。開発者の大きなチームがないため、既製品の上に独自の仕組みを作る取り組みも難しいといいます。

一方で強みもあるというのが同氏の説明です。チームは弁護士のすぐそばにいて、官僚的な手続きが少ないといいます。同氏の部門はイノベーションに加え、弁護士の育成やパラリーガル、秘書、プロジェクト管理室まで担います。ある領域が前進すれば他も一緒に動かせるといい、大手事務所はより縦割りに見えると述べました。人材の定着がよく、顔なじみの関係で働きかけられる点も挙げています。

波で進める導入

導入は数度の波で進んできたといいます。最初は生成AIとは何かという全所的な基礎理解と、早期導入者への集中でした。次に前期と後期の多数派へ広げ、現在は最も慎重な層に取り組んでいます。全員を同じ速さで動かそうとはせず、時間をかけてよいと考えているそうです。

事務所の文化に合わせることも重視しています。Fredriksonはトップダウン型の事務所ではないといいます。試行導入や働きかけを通じて、相手の状況に合わせて進めているそうです。上からの命令は「うまくいかない」のでほとんど使っていないと語りました。次の波へ移る時期は外部の技術動向と自分のチームの余力の両方を見て判断しているといいます。

予算は人に回す

資源の限られた事務所への助言を問われ、同氏は人への投資を挙げました。ライセンスに予算を使い切り、研修を一度行えば済むと考えがちですが、それでは足りないといいます。弁護士の隣に座ったりTeamsの通話に入ったりして、一緒にプロンプトを試し、試作を往復で直す人が一人か二人必要だと説明しています。

そうした人がいなければ、利用は校正や記事の要約といった表面的なものにとどまるとのことです。研修が一般的すぎるのも問題で、多忙な弁護士には訴訟やM&Aの業務へ自分で結びつける時間がありません。実地で、業務分野ごとに具体化する必要があると述べました。聞き手のMcCormack氏は、AI開発企業が顧客先へ技術者を送り込む動きと重なると応じています。

年齢より気質

若手に任せればよいという通説を、同氏は現時点では誤りだと考えています。判断力が育つ前にAIへ頼りすぎる危うさがあり、ロースクールの対応もまちまちだからです。AIを最も使いこなしているのは中堅以上の弁護士だといいます。事務所内で徒弟的な指導を強める必要があるとし、力が育たない世代を生むことへの懸念も口にしました。

最も驚いた点として挙げたのは、AIへの向き不向きが年齢や経験年数でなく気質で決まることです。若手に仕事を任せるのが上手な人はAIの扱いも上手で、一人で抱え込む人はうまく使えていないといいます。目の前の案件に追われ、ビジネスモデル全体への影響を考える時間を取りにくいことも課題に挙げました。

本記事は掲載時点の情報です。発言の引用は日本語に訳しています。